蛍火艶夜 下巻【amase】 「あの時の貴様は本当に綺麗だった」1945年3月。2週間も何ひとつ戦果を上げられず、ばくちのような出撃は軒並み空振り、鬱憤のたまった兵たちのケンカに、「作戦会議」と称した宴会……と、その日は生真面目な坂ノ上庚二少佐にとって、とにかく不愉快な一日だった。乱痴気騒ぎに嫌気がさし、見廻りを口実に宴会を退出した坂ノ上は、兵舎に戻るや否や、慌てて逃げる人影を目撃した。空き部屋から聞こえた物音に、胸騒ぎを覚えながら扉を開くと、そこには……。 amase単行本
蛍火艶夜 上巻【amase】 「このえり巻先に特攻で逝った人から貰ったんです」1945年3月、徳島。報道の為、特攻隊の写真を撮影に来ていたカメラマンの淀野は、田中志津摩一飛曹の朗らかな笑顔に惹かれながらも、彼の運命を思い、うしろめたさを覚えてしまう。ある晩。不意に淀野のもとを訪れた志津摩。話し込むうちに、レンズ越しには見えなかった深淵が――。(『田中志津摩一飛曹編』)時は第二次世界大戦末期。苛烈な争いのなか、國の為、自らの命を武器に闘うべく募られた特別部隊。’神風特別攻撃隊’――……。焦燥、憧憬、苦慮、希望、そして慕情。 amase単行本